平成24年度文部科学省「国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラム」に、創造科学技術大学院・ナノビジョン工学専攻(実施専攻)が、光・ナノ物質機能専攻と連携して申請した「中東欧・アジア地域国際連携教育プログラム」が採択されました。

中東欧・アジア地域国際連携教育プログラム

実施大学 静岡大学
実施研究科・専攻 創造科学技術大学院 自然科学系教育部 ナノビジョン工学専攻、光ナノ物質機能専攻
研究科長名 永津 雅章
所在地 〒432-8011 静岡県浜松市中区城北3丁目5-1
問い合わせ先 担当部局・係 静岡大学創造科学技術大学院大学院係
E-mail oknara[at]ipc.shizuoka.ac.jp ※[at]を@に置き換えください。
電話番号・FAX Tel:053-478-1350 Fax:053-478-1359

プログラムの概要

分野 自然科学分野
主な研究分野、
進路
主な分野:「電気電子工学」、「応用光学」、「画像工学」など
進路:日本の産学官研究機関ならびに母国の研究機関の指導的研究者・技術者
プログラムの特色、
優れた点など
本プログラムは、本学の伝統ある「画像工学とその基盤となる光・電子工学」分野の若手人材輩出のため、これまでの国費留学生優先配置特別プログラムの実績を継承・拡充させるもので、中東欧およびアジアの協定校からの留学生の受入れを主体とするものである。特にその中でも、協定校教員との国際的連携を一層強化する観点から、両大学の教員が共同で指導を行うダブルディグリープログラム(DDP)留学生の受入れを推進することを特徴とする。
プログラムの形態 博士後期課程(3年間)
受入れ学生予定数 博士後期課程: 16人
外国人留学生数 16人(うち優先配置: 8人)
日本人学生数 0人
入学時期 毎年10月
募集 対象地域・国など 中東欧、アジアの協定大学を通じて募集
告知方法 本学のホームページ、および協定校を通じて募集
担当教員数 52人
プログラム
マネージャー名
所属部局・職名: 創造科学技術大学院・教授
氏名: 田部 道晴

プログラムの具体的な内容

目的

交流実績の豊富な中東欧およびアジア地域の協定大学を中心に優秀な留学生を受入れ、本学浜松キャンパスが伝統とする「画像工学とその基盤となる光・電子」の分野で高度の博士課程教育研究を実践するもので、産学官を中心に日本に残って活躍する人材と母国に戻って指導的な役割を果たす研究者・技術者を輩出するとともに、国際交流ネットワークを構築することを目的とする。

分野・特色・対象地域

  • 「画像工学とその基盤となる光・電子」を対象分野とし、それを支える「ナノビジョン工学専攻」と「光・ナノ物質機能専攻」が実施するものである。本学浜松キャンパスは、テレビジョンの父「高柳健次郎博士」以来の伝統から、「画像工学と光・電子に関わる研究分野」を特色としている。H14年度に文科省知的クラスター推進事業(オプトロニクスクラスター)が、H16年度には文科省21世紀COEプログラム「ナノビジョンサイエンスの拠点創成」が採択され、いずれも最高ランクの事後評価を得た。平成21年度には、歴史的な偉業に対して与えられる国際電気電子学会(IEEE)マイルストーンが「電子式テレビジョンの開発」に対して認定された。さらに文科省特別教育研究経費による事業がH17-18、H21-25年度の2期にわたって採択されている。
  • 協定校との国際的連携を一層強化する観点から、両大学の教員が共同で指導を行う複数学位認定制度(ダブルディグリープログラム(DDP))による留学生の受入れを推進することを特徴とする。博士課程としておそらく国内で初めて認可を受けたワルシャワ工科大学と本学とのDDPは、H18年度に初めてDDP留学生を受け入れ、その後、DDP覚書締結大学はアジアにまで拡大し、現時点でのDDP受け入れ学生は11名に達している。DDP制度は、指導教員同士の連携、学位取得後の就職の他、共同指導を通した国際研究交流の点で大きなメリットがある。
  • 対象地域は、主に「中東欧およびアジア」とする。中東欧協定校(12校9か国(DDP締結は4大学))とは毎年開催の国際会議インターアカデミアを通して10年以上の交流実績がある。また、アジアの協定校(4校4か国(DDP締結は3大学))とも毎年国際会議を開催して交流を重ねてきている。
図1.本プログラムに関連する中東欧およびアジアの主要協定校とDDP締結の状況
ならびに交流の基盤となる毎年開催の国際会議・セミナー等

選考方法

  • 国費留学生の募集については、ウェブ上で広くアナウンスし、諸外国から優秀な留学生を受け入れる体制をとる。ただし、中東欧およびアジアの協定校との繋がりを大切にして、該当する留学生は優先的に採用する。また、協定校からの留学生の中でもDDP留学生の受入れについては、相手校の指導教員との交流を通した留学生の事前評価などを基に最優先で受入れる。
  • 入学試験は、学業成績などの書類審査に加えてスカイプなどのツールを用いたインターネット試験により行う。試験委員は、指導予定教員を除く3名の教員で構成し、厳格な審査を行う。

指導体制、カリキュラム、言語

  • 指導体制は、本学教員が正および副指導教員となり、幅広い視点から指導を行う。
  • 本プログラムを構成するカリキュラムは、より専門性を高める専門科目と幅広い視点を涵養する学際科目からなり、本プログラムにおいては日常の研究指導を含めてすべて英語で行う。
  • Monday Morning Forum (MMF):ナノビジョン工学専攻を中心とした教員・学生・ポスドクが参加し、博士課程学生・若手研究者の発表の場として毎週月曜日の朝に1時間実施している。H17年度より開始し、これまでの開催は244回(H24年6月11日時点)となり、研究交流、FDの場としても定着している。原則として、英語による発表と討論で鍛える。
  • DDP留学生については、母国の指導教員と本学の指導教員との共同指導の体制をとる。DDP留学生には、研究と勉学の様子をMonthly Reportとして母国の指導教員に定期的に報告させる。

キャリア支援と修了後のフォローアップ

  • フォローアップ体制を充実させるため修了生とのネットワークを整備するとともに、インターアカデミアなど協定校との国際会議を通して修了生の継続的なフォローアップを行う。特に、DDP留学生に対しては、協定校の指導教員と本学指導教員との繋がりが強い。これは、修了生の共同フォローアップ体制となり、今後とも強化していく。
  • 博士課程学生に対する就職支援を充実させる。国内外において多様なキャリアパスが確保できるよう、キャリア開発を組織的に支援するシステムを構築する取組を大学として行うべく、平成24年度に博士キャリア開発支援センターを開設し、活動を開始している。

日本人学生との共同学習・研究の取り組み

  • 本学博士課程大学院の特色は、留学生、日本人学生、社会人学生の比率がおおよそ1/3ずつであることであり、国際性が豊かで、日本人学生と留学生が切磋琢磨し合う国際的環境にある。
  • それに加えて、本特別プログラムの留学生が出席する講義はすべて英語で行われ、既に実績がある。これに伴い、日本人学生も「英語による講義」と「外国人学生との英語による質疑応答」が日常化している。また、上述のMMFや協定校との国際会議は、日本人学生も参加するため、お互いに切磋琢磨する環境にある。
図2.本プログラムにおける留学生の受入れ、日本人学生を取り込んだ博士課程教育、キャリアパスのフローと国際ネットワークの構築